はま

ブリッジ・オブ・スパイのはまのレビュー・感想・評価

ブリッジ・オブ・スパイ(2015年製作の映画)
3.8

【見つめる】

遅ればせながら2016年初映画はこの作品。

冷戦時代の混乱下、トムハンクス演じる一人の米国弁護士がソ連のスパイの弁護を引き受ける話。不安定な世界情勢、そしてそれによる各国各所の要人たちの複雑な思惑を背景にして交渉術が繰り広げられていきます。

会話劇がメインなので解ってはいましたが、やはり地味です。分からない人にはこの映画の良さが分からないでしょう。でも!物語が進むにつれ徐々にテンポ感が増し、クライマックスの橋の上でのシーンでは緊張感MAXです!そして私たち人間はおおよそ言葉の領域を出ることは出来ないのですから、言葉を剣にすることがいかに尊いか思い知らされます。

語る/語られないの線引きも本当に絶妙でその駆け引きにはしびれます。そう、駆け引きというのは強気で挑まなければだめなんですね。勉強になります(笑)


ということでトムハンクスは喋りまくる役が相変わらず上手ですが、個人的にはカメラアングルにとても感動しました。

と言っても素人なので分かったようなことは言えませんが、今作は冒頭からラストまで「視点」というものがフォーカスされ、随所に「鏡に映る」というシーンが効果的に使われているのは確かです。

手法としては作り手が意図して見せようとしている方向を私たち観客は自然に見ることができたように思えますし、作品内容と結びつけるならば「見つめる」というテーゼが真に迫って伝わってきます。正義や真実とは見方によって幾らにでも変わってしまうものだから、私たちはただ見つめなければならないのです。

映画一つとってもそうですけど、今の時代ある一つの対象をじっと「見つめる」ことが出来る人って本当に少ない。私の世代だから余計に感じることなのでしょうか。

2016年は「見つめる」ということを大切にしていきたいと思います。