ラウぺ

ブリッジ・オブ・スパイのラウぺのレビュー・感想・評価

ブリッジ・オブ・スパイ(2015年製作の映画)
3.9
U2撃墜に絡むスパイ交換の舞台裏、というネタ的にかなり地味な映画ですが、結論から先に言うと驚くほどよく出来た映画で、ひょっとするとスピルバーグ作品の中でも屈指の名作ではないかと思いました。

細部に亘る小技の利かせ方や映像表現の巧みさといったものはスピルバーグ印ならばある意味当然ともいえますが、この映画の良さはトム・ハンクスの渋みのある演技(特に顔芸が素晴らしい)に加えて、脚本の巧みさも加わって、終始飽きることなくテンションが持続し、途中でちりばめられた些細なセリフが最後に大きな意味をもつ物語の巧みさに唸らずにはいられませんでした。
今のように混沌とした時代にあって、国家やイデオロギーとは別の、人間が本来尊重すべきものはいったい何か?という普遍的な真理をさりげなくテーマに掲げ、嫌味なく感動を誘うラストには思わず泣いちゃうほど感動しました。

やっぱり映画は脚本、俳優の演技、監督の技量、どれ一つとっても欠かすことのできない要素であり、それが高度に統合されたときに名作と呼ぶに相応しい作品が出来上がるのだという、ごく当たり前の事実を再認識致しました。
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