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ブラック・シーのsatchanのネタバレレビュー・内容・結末

ブラック・シー(2014年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

 ジュード・ロウ目当てで見ました。最近、『リプリー』(1999)を見たばかりなので、ギャップがすごかったけれど、貫禄があって、まつ毛と人を刺すような視線は健在です。妻や息子と別れ、会社まで解雇されて、失意のどん底にあるロビンソンの役。タイトル通り、黒海が舞台で、クリミア半島、トルコの都市、グルジア共和国などが出てきます。潜水艦に30年も乗っている経験を生かして、黒海に沈んでいるUボートから金塊をせしめようと、仲間や資金を集めて潜航する物語。ちょっと気になり、Uボートについて調べました。ドイツ海軍は、第一次・第二次世界大戦中に、1,300隻以上もUボート建造しいて、黒海で活躍していた6隻の内、3隻が実際に発見されているようです。
 金塊泥棒映画なら『ミニミニ大作戦』風かな、などと想像して見ていたのですが、痛快アクションではないですね。ジュード・ロウは良い者というより、お金に目が眩んで、仲間を見殺しにしてでも目的を達成しようとする腹黒い中年親父といった風。海底に眠っていたUボートの中の骸骨や鎖に繋がれた人間の姿を見ると、極限状態の人間がすることって、何よりも恐ろしいなぁと思います。潜水艦の中での男同士の争いも、人間の醜さが随所に現れています。自分一人にとっては、全て正当化できることなのでしょうが、それぞれの抱える人生・エゴのぶつかり合いがテーマでしょうか。最後に緊急用の脱出スーツを仲間に譲り、家族との思い出に浸り、海上へと金塊を浮上させる…。死を目の前にして、自分の成し遂げたことに思いを馳せる、人生の最後はこうなのかなと想像しました。…風の前の塵に同じ、そんな感じの映画でした。
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