トニー

海にかかる霧のトニーのレビュー・感想・評価

海にかかる霧(2014年製作の映画)
4.4
やっぱポンジュノはすげぇ。
『シャイニング』『ミスト』に連なる"霧"映画の決定版(そんなジャンルはないしシャイニングは雪だ)といっても過言ではない。マッドマックスを除けば今年公開作品中ベスト級に好きだ。
工具での死体処理。キムユンソクの唐突なバイオレンス発動を機に、「船」という閉鎖空間内で起きる倫理の崩壊とその連鎖を徹底して描いていた。こういった作品は数あれど、本作の特筆すべきところは"盛りのついた雄どもの気持ち悪さ"をプラスアルファしている点だろう。パーマじゃないほうのあの先輩の気持ち悪さったらない。こういうやつ大学のコンパとかにもいるなぁっていう生々しい気持ち悪さだ。現実社会でもこの類いの人間は魚艙に閉じ込めていいと思う(暴論)。
また今作のキスシーンは今まで見た映画の中でベスト級に燃えた。(ベストは「キックアスジャスティスフォーエバー」のクロエグレースモレッツ)。漂白された女子高生エクスプロイテーション映画の中の純愛にはピクリとも来ないのだが、こういう特異なシチュエーションでの純愛には燃えるものだ。
終盤ちゃんと海洋パニックやってくれるとことか、父を殺す若者の成長譚になっているとことか、ラストに「さんかく」級の怒涛の勘違い失恋ムービーまで達するとことか、相変わらずのキムユンソクの不死身っぷりとか、個人的に好きな要素がいっぱいあった。語り口が早急すぎるし展開も唐突だって言ったらそうなのかもしれないけど...でも、そこがいいんじゃない!
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