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海にかかる霧のcigaretteのレビュー・感想・評価

海にかかる霧(2014年製作の映画)
3.6
2001年の「テチャン号事件」題材と聞き、密航やら大量窒息死やらを思い浮かべ
殺伐&グロの、どんよりした作品だろうとおもいきや、まさかの恋愛映画だったとは!
言うなればポンコツ漁船で繰り広げられる、映画『タイタニック』ですよ(大げさ)。

ポン・ジュノ監督・脚本の作品は代表的なものだとこんな感じです。
ほえる犬は噛まない(2000年)
殺人の追憶(2003年)
グエムルー漢江の怪物(2006)
母なる証明(2009)
スノーピアサー(2013年)
海にかかる霧(2014年)

私はダントツで『母なる証明』が好きですね。母の愛というか、心理描写がパないです。ポン・ジュノ凄い!と目をつけ始めるきっかけになった作品でした。
しかし、お金のかかった『グエムル』や『スノーピアサー』は、個人的には評価はイマイチでした。
ポン・ジュノさんは、無茶な設定ありきのお話よりも、日常が意図せずにどんどん転落していくような作品の方が本領を発揮できる気がします。
本作はそういう意味では『母なる~』と同じくポン・ジュノの本領が発揮された映画でした。
やっぱり心理描写が丁寧だと映画に入り込めますからね。

あと、ポン・ジュノは役者の魅力を引き出す才能をもっていると思います。
本作のドンシク役のユチョンは、イケメンすぎない純朴で親思いの新人漁師を演じてるのですが、恋愛にどんくさい感じが、もうキュンキュンくるくらい可愛いのです。
『母なる~』で知的障害者であるトジュン役をやったウォンビンも、澄んだ子供のような目が印象的で、母性本能を刺激しまくりでした。
思えば『ほえる犬は~』のペ・ドゥナちゃんも、すっごく可愛かった!グエムルでは微妙だけどw。

そんな才能たっぷりのポン・ジュノさんは、来年公開予定の映画を撮っているようです。
またお金がかかった大作映画らしいので、その点が若干不安ではありますが、楽しみにしたいと思います。
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