あまのかぐや

海にかかる霧のあまのかぐやのネタバレレビュー・内容・結末

海にかかる霧(2014年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

冬も終わりに向かっていますが、寒々しい映画の感想を。これも観たときの重苦しい衝撃が薄れないうちに感想を残しておきたかった。

ポンジュノ監督は、その名前が出たら観なきゃいけないような気がしてる監督の一人です。

海上の漁船という閉塞的な場所を列車に置き換えた「スノーピアサー」探検隊6人の疑似家族を描いたような「南極日記」など、なんかこう、限られた空間・限られた人員での群像劇が好きってのもある。それも生命削るような関係の。

苦渋の決断から、朝鮮族の密航の手伝いをして生活を立て直す、船を守る、船員たちの暮らしを守るいう船長の信念。

船長に付き従うという古参船員の信念。

あと若者の己の性欲のままに従う信念。

生命、金、性、愛などが狭くてボロイ漁船の中でぐるぐるぐるぐるして、それはそれは息が詰まる。ある事件後は凄まじい展開になります。

絶叫やアクションが本筋ではない、白い霧の中で、そっと静かに広がっていく惨状というのが堪らない。

「パーフェクトストーム」のジョージ・クルーニーや、「キャプテンフィリップス」のトム・ハンクスみたいな正義感と漢気ある船長役も、絶対にそつなくこなすだろうに、このユンソクは…このユンソクは…。

いやそれだからこその韓国映画のいいところです。韓国俳優の魅力的なところ。

船の上、船倉、機械室など、生臭い血と生魚と汚物と、映画なのに、さまざまな匂いまで感じられそうな、迫力があります。

ヒロインらしき子と、船上で唯一の良心とみられた若者ですが、なぜだかあまり感情移入できなかったな。

現実的じゃない、というか、なんというか。あの百戦錬磨の船長をも飲む狂気の中で、なんか浮世離れした異分子な存在に思えて。

だから、そのせいだろうか、ラストはハッピーかつアンハッピーで、良かったと思いました。



韓国っぽい食べ物シーン:カップ麺
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