chiyo

誰でもない女のchiyoのレビュー・感想・評価

誰でもない女(2012年製作の映画)
4.0
2021/8/30
第二次世界大戦中、ドイツ兵とノルウェー人女性の間に生まれたカトリーネ。ナチスの人口増加計画と“生命の泉”の存在は知っていたものの、ベルリンの壁崩壊後に訴訟が行われていたことは初めて知った。そして、本作のカトリーネのように、スパイとして一般家庭に入り込んだ当時の子どもたちがたくさん居たことも。改めて、負の遺産を引き継いだ東ドイツはつくづく残酷だと思う。また、家庭を守りたいカトリーネ、裏切りと失意に突き落とされる家族、どちらの気持ちも切実でただただ辛い。特にカトリーネの母親の心情は、想像してもしきれないほど。カトリーネのラストは組織の人間として致し方ない部分があるものの、家族のその後にも不穏しか感じられない。怖い。
chiyo

chiyo