ぽつんとそびえ立つ大木、その横を通る道、雨、美しい緑…
冒頭からタルコフスキーの「サクリファイス」を感じてしまった。
なるほど、ズビャギンツェフ監督はタルコフスキーを敬愛していて、この作品は「サクリファイス」をインスパイアしたものでしたか…納得。
十年くらい前に「父、帰る」を劇場鑑賞してすっかりその世界に虜に。
随分待ちました…
衝撃の告白、人としての試練、それを乗り越えられるのか…
ズビャギンツェフ監督作品は今回全て観ましたが、どの作品にも「人とは分かり合えない」生き物なのであるという一貫したテーマがあるように思えます。
それが親子であれ、兄弟姉妹であれ、愛し合った恋人たちからの夫婦であっても。
個は個、という。
そしてその個は大自然の中では実に小さな存在であること。
それにしても、冒頭にタルコフスキーと書きましたが、なんとも言えない、美しい牧歌的な景色は…これは本来劇場でなんとしても見るべきでした。それだけが後悔ですね。