Omizu

ヴェラの祈りのOmizuのレビュー・感想・評価

ヴェラの祈り(2007年製作の映画)
3.4
【第60回カンヌ映画祭 男優賞受賞】
『父、帰る』『ラブレス』等のロシアの巨匠アンドレイ・ズビャギンツェフ監督の長編2作目。

ズビャギンツェフ監督はすごく好きなのだがなぜかこの作品だけ観ていなかった。

本編も示唆に富んでおり、映像も素晴らしく美しく紛うことなきズビャギンツェフ作品という感じ。長いショット、美しい映像、少ないセリフが特徴で、この作品はその極地。

前半の何気ないセリフが後半の伏線になっていたりとミニマルながら脚本もよくできている。

ただ最近の『ラブレス』などと比べると映像の美しさだけが際立ちすぎている印象。個人的には『ラブレス』と『父、帰る』がベストなのでそれを超えることはなかった。

また特典として付いていた取材映像が面白くて、長編デビュー作がいきなりヴェネツィア映画祭金獅子賞を獲ってしまったためかなりのプレッシャーの中でこの作品を撮ったという。

ロシア国内ではあまりにもタルコフスキーに寄せすぎ、など批評家だけでなく先輩の映画監督にも嫌なことをたくさん言われたそう。でも世界をまわると絶賛の声が大多数で、特にベルイマンに褒められたのが嬉しかったという。ズビャギンツェフって意外と神経質な監督なんだなっていうのがよく分かった。

子役のあの女の子、本編でもすごく可愛かったけど、映画作りに興味があるそう。もしかしたら監督として将来出てくるかもね。楽しみ。
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