この映画に登場する2つの家庭はロシアの国家体制になぞらえているんじゃないか。
エレナの息子の家庭は貧困層なのに怠け者で、助けてあげたり施してあげても、ろくに感謝もないどうしようもない家族。だけど、踏ん切りを付けられずそれをタラタラ続けているという意味で旧ソ連。
エレナが再婚した家庭は発展していて、きちんと働いていて物質的には恵まれているけど、人間関係は希薄で冷たい。自身も平等な扱いを受けていない現在の資本主義のロシア。
その両方を知っている彼女はある日どちらかの家庭(国家体制)を取らないといけなくなる出来事が起こり、そこで彼女が取った選択。
ロシアは90年代に資本主義を取り入れて、外面(経済的に)は生まれ変わったけど、ロシア人の精神的、本質的な部分はソ連時代と何も変わっていない。そのまま引き継がれていくのではないかと思わされる結末だった。たとえそれが資本主義の良い側面を壊すことになったとしても。