年間数本しか映画が撮られないというブルガリアの作品。自国で映画を撮るという文化が根づきにくいとか読んだけど、その数本の中に良作が多いんだから面白い。
教室での盗難事件や唐突に知らされる夫の借金と自宅の差し押さえ。金銭トラブルに巻き込まれ、借金の返済に走り回る教師を映しただけなのに、これでもかとハラハラさせられる。主人公の心理描写を観客に上手く伝えてくる映画はやっぱり面白い。
銀行に間に合うか間に合わないかの数分。バスに乗った後で財布にお金が入ってない事に気づく絶望感。裕福な父親に立て替えて貰えばすむ話なのに、様々な軋轢からお願いできないプライド。主人公が教師である必要あるのかなと思っていたら、なかなかに皮肉な見せ方で素晴らしい。
何度も映りこむ謎の張り紙や墜落した飛行機が町中に普通にあったり、ブルガリアの不思議な風景を映しながらも金にまつわるあれこれは同じなんだと驚かされる。これからも色んな国の映画を見ていきたいし、見られるようになるといいな。
