セリフの無い、心地よい風の音が印象的な映画です。
結末は正直タイトルで読めてしまったところはありますが、それでも綺麗な映像と自然の音で観る映画として良いものです。草原での実験なんて、あれくらいしか有りませんしね。しかしながら、その結末ありきで劇中の穏和な、素朴な生活を「見せられていた」としたら、少し残念な気もしてしまいます。少女がとても綺麗な事が引っ掛かってしまう。これがもっと素朴で平凡な少女だったなら、いや寧ろブスだったなら、観客の感情移入は減ってしまうでしょうか。それは小野小町の死んで朽ち果てるまでを描く絵巻き「九相図」のように、美人の死の方がより悲惨に見えてしまうような事を利用するものなのかもしれません。美しいものが壊れる事がとても残念に思えてしまうのは、人間誰しもそうでしょう。だからこそセリフが無いことはとても好印象です。台詞があって、その台詞に意味を持たせてこの結末が来ると、きっと後からすべてが嘘臭くなってしまう様な気がします。
