きんぽうげ

草原の実験のきんぽうげのネタバレレビュー・内容・結末

草原の実験(2014年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

変わった映画である。セリフが全くない。だから、こちら側からの想像で物語を作っていく面白さがあった。家屋や車、生活必需品など、ほとんどが使い古された、いわば朽ちたものだが、不思議な存在感があり、写真のワンショットをとどめておきたいような場面も多かった。
題名から考えてみても、核に関する何かと思っていたら、当たったようだ。
ロシア語の表記があったし、チェルノブイリ前夜の話なのだろうか?
父親と娘の草原での暮らし。
冒頭、トラックに牛を乗せて家に戻るシーンがあったので、家畜を営んでいるのかと思うが、そうではない。もしかして、原発に勤めているのか。途中、ガイガーカウンターらしきものを持った人物が現れて、査察のような事をしていたので、盗みを働いた可能性もある。
若者が何処からともなくふたり現れて、娘に求愛をする。一人はいつも同じルートで馬に乗ってやって来て、娘を家まで送る役目で、必ず井戸の水を一杯飲み、少し残し、それを焼き石に投げつけるのが決まり事のようである。もう一人はとおりすがりに車が故障し、たまたま水を貰いに訪れた若者だ。
水が印象的に使われている。飲み水だけではなく、引き水、雨、足を洗う。
若者同志が奪い合いの格闘をする。娘は決意をしたかにように、髪を切る。
そう、映像が美しいという以前に、カット割りがうまいのであろうか。
一本の木の存在を忘れていた。
きんぽうげ

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