カラン

草原の実験のカランのレビュー・感想・評価

草原の実験(2014年製作の映画)
4.0
前情報なしで見たほうがいいかなって思いますね。ゆっくり暇な時に鑑賞されてください。


何も知らないで見てたら、『初恋の来た道』みたいなのかなって思った。そしたら木が映ったのでタルコフスキーっぽく。そのうち道が分かれて、ゲリンの最初のやつになって。でも、どれも違くって、『ディープインパクト』とか、コロニー落としみたいになった。あっ、機動戦士ガンダムのことね〜。











ちょっとコメントしますよ。

一つの道が二つに分かれる。しかるに男が二人。一方はロシア人で、あの土地の外部を指している。世界地図を指先でなぞっている闇夜に、ロシア人が窓先にあらわれ、土地のものではない技術の表象である映写機を回す。他方は土地の男。この土地であり、家族を、固有性を表す。また、一つの道であった父は二度死ぬ。ここが一番興味深いが発展しない。ロシア人が分裂したのは良い。映画が最高の強度に達するのは、爆風にバイクで突っ込むところではない。だからCGでもかまわない。寄り添った洗濯物にも官能はない。乾いているのだから。本当に言葉をなくすのは、バラバラで、身体かどうか判別つかない、ほとんど、物、と化したショットだろう。あれは凄かった。

結局のところ、この映画は《一つのもの》を静か〜に、長〜く映して、いきなりバラバラにする映画なのである。父は分裂する以上は、爆破されるわけではないが、バラバラなのである。他の人は皆、爆破されてバラバラになる。全てをバラバラにするためにゆっくり進行する映画なのである。ただ、全編通して乙女の可愛さでもたせてるかな、テロスに至るまでね。普通の時間が長すぎる。そこがタルコフスキーとは違う。逆に、タルコフスキーの凄さがわかる映画である。
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