水と太陽、大地の息吹を感じる圧巻の映像美。
父と娘、娘を囲む微笑ましい三角関係。
大自然はそんな日常を静かに見守っていた。
しかし思わぬ喪失が訪れ、美しく大きな夕日が沈んだとき、それまで気にもならなかった無音が突然不穏さを漂わせ始める。
台詞が一切なくとも、その淡々とした画の連なりは雄弁で力強い。
その連なりを断ち切るのは。彼女が最後に見たものとは。
結末を迎え呆然とした頭の中で、得体の知れない謎だったいくつかのピースが音もなく綺麗にはまっていき、ゾッとした。
それでも太陽は昇る。愚かな人間を燃やし尽くしてしまいそうなほど赤く、赤く。