高橋早苗

もしも建物が話せたらの高橋早苗のレビュー・感想・評価

もしも建物が話せたら(2014年製作の映画)
4.5
2011年
東京都現代美術館で観た、ヴィム・ヴェンダースのビデオインスタレーション
「もしも建築が話せたら…」


スイス・ローザンヌにある
SANAA《ロレックス・ラーニング・センター》
ゆるやかに波打つようなワンフロアの映像と
そこに響くヴェンダースの言葉に夢中になった



まさか、それが
ベルリン・フィルハーモニーに場所を移して
映画になるなんて!



ベルリン・フィルハーモニーといえばハンス・シャロウン
「ベルリン・天使の詩」に登場したシュタービ(Stabi)こと
ベルリン州立図書館も彼の設計♪

…天使たちが、人間の「言葉」に寄り添う姿が忘れられない



ベルリン・フィルハーモニーも、内部に入ると階段の手すりがシュタービと同じ!
もう、それ見ただけでニヤニヤしちゃう^^



人の言葉に耳をすます天使のように、今度は
長いことそこに在り続ける建物の言葉を聴くなんて
つくづく、ヴェンダースは目に見えないものが好きなのね〜^_^



だけど、いま私が住んでいる家にも
通っているビルにも
いつも通る駅にも
よく立ち寄るお店にも
あると思うのよ。声が。



声という言い方(捉え方)をしているだけで
普段からなんとなく雰囲気がいいとか悪いとか
居心地が良いとかなんだか落ち着かないとか
気が良いとか良くないとか
…それは、私たちがいつも感じているもの。



それを、この映画では
「もしも建物が話せたら」と、6人の監督が

ベルリン・フィルハーモニー
ロシア国立図書館
ハルデン刑務所
ソーク研究所
オスロ・オペラハウス
ポンピドゥー・センター

と6つの建物のストーリーを
それぞれに紡ぎ出している。


その建物を、場所を観ながら
それぞれに選んだものにチカラを込めて
リアルに映してみてる。



そう、私たちの毎日って
そのストーリーって
それぞれが勝手に作ってんのよね。ということが
…潜在意識とか投影とか
聞いてもつい難しく感じてしまう、その

 作ってんのよね。

って部分が、意外にも
この映画を観ると
腑に落ちるという。


それは、いつも私たちが感じているもの。
高橋早苗

高橋早苗