Aria

ライオット・クラブのAriaのレビュー・感想・評価

ライオット・クラブ(2014年製作の映画)
4.0
一見、自由に暴れまわっているようで
実は彼らは産まれた時から縛られている。

英国 階級社会の支配者の皮を被った
弱きものたち。

縛られながらも暴走する彼らの姿は
もはや美しく見える。
監督さんの描きたいもの、分かります…!


オックスフォード大学の秘密クラブ
上流階級の子息、それも選ばれた
限られた人しか入会する事ができないという
「ライオットクラブ」

イギリスの階級社会の中流・上級階級に
スポットを当てている。

しかしながら10名という規模と
限られた時間のせいか駆け足で
終わってしまいかなり勿体ない!

これ、ドラマシリーズ化したら
絶対ヒットすると思います。


マイルズは上流階級でありながら
中流以下の階級の女の子と付き合います
その事をライオットクラブの他のメンバーは
不釣り合いだ、遊びと本気は考えろなどと言い快く思いません。

マイルズは中流階級の彼女の事を
いい子だと言い反論します。

恐らくマイルズは
現代では薄れつつある階級意識の象徴の
ような存在です。

しかしながら英国に
深く根付いている階級社会は
そう簡単に変えられるものではなく
こいつらについて行けない…程度で
自分で何かを変えようとか動かそうという事はしない。

安全に敷かれたレールの上を
歩んできた彼らは
枠からはみ出す危険を犯さない。
犯せない。

そういう階級意識の縛りから
必死にもがき抜けようとしているのが
マイルズくん。

ラストの彼は小さな一歩ながら
いい表情でした。


それと対照的なアステリアくん。
最初の両親のシーンから分かる通り
歴史、伝統にこだわる家系の子。

家の力、クラブの力に甘んじては
いるものの自身の兄やマイルズと
比較されるのを嫌います。

個を見て欲しいと思うのに
上流階級という狭い枠組みに留まり
雁字搦めになっている。

正直、10人の中で一番最低だけれども
一番生命力がある気がする。
結局アステリアのような人間が
一番計算高くて地位や名誉を有効に利用し
のうのうと生きていくんだろうな。

ラストシーンのアステリアの表情を
見ていると憐れみすら感じましたが
美しくも見えました。



カタルシス的な要素も感じられ、
例えるならば

トレインスポッティングが堕落のカタルシス
ライオットクラブは攻撃のカタルシス

富裕層ならではの遊び方、
いや、最早遊びというレベルではなく
乱痴気騒ぎですが…笑


善とか悪とかそういう事ではなく
産まれた時から生き方が決まっていて
疑問を持つ猶予すら与えられず
それを当たり前として生きてきた彼らの
無意識のうちに芽生えた
「抑圧された自由を求める心」
が知らず知らずの内に
溢れ出てしまっているかのような
暴れっぷり。

若手イケメン俳優陣で固められた
ライオットクラブは
かなり、かなり目の保養になる!!!

気高く暴れる弱き若者たちの
美しい姿は必見です。
Aria

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