戦後初のドイツ長編映画。“ドイツ瓦礫映画”の代表作。
終戦直後、瓦礫となったベルリン。強制収容所を生き延びた写真家のズザンネは自分のアパートに戻ってきたが、部屋には戦場から戻ってきた若い医師メルテンスが住んでいた。彼は戦争によるPTSDを酒でごまかしていた。他に行く当てもない2人は共同生活を始める。ある日、メルテンスは死んだと思っていたかつての上官ブルックナーと再会する。事業が大当たりし豊かに暮らすブルックナーを見てメルテンスは激しい怒りを覚える。戦時中のクリスマス、ブルックナーはメルテンスの目の前で100名以上のポーランド民間人を虐殺したのだ。。。
1946年に作られた自分たちの戦争加害責任を問う映画。同時代の日本には被害者目線の映画はあるがこのようなものは無かった。
イタリアネアリズモとドイツ表現主義が合わさった映像演出が興味深い。瓦礫となったベルリンは二年後のイタリア・ネオリアリズモ映画「ドイツ零年」(1948)でもロケしていた。
傑作とは言えないが、難しいテーマに向き合いしっかりと作られていて映画史的に重要な一本だと思う。終盤シークエンスの戦争トラウマ表現は強く印象に残った。本作の落としどころとなる「個人が裁くのではなく裁判で戦争犯罪を明らかにすべき」との主張には考えさせられた。