佐藤でした

エレファント・ソングの佐藤でしたのレビュー・感想・評価

エレファント・ソング(2014年製作の映画)
3.0
ある日、一人の精神科医が失踪した。手がかりを知るのは、彼の患者であるマイケルという青年だけ。院長のグリーンはマイケルから事情を聞こうとするが、ゾウやオペラについての無駄話で、話をそらすばかり。「母を殺した」「医師から性的虐待を受けていた」など、嘘か本当かわからないようなことをほのめかし‥。

①ぼくのカルテを読むな
②看護師長には相談しないで
③ご褒美のチョコレートは3つにして

彼は事実を話す代わりにこの三つを約束させる。3つ目のチョコレートは、作品全体の色に大きな影響を及ぼしている。
そう、色彩設計が素晴らしい作品だった。母親が着ていたドレス、マイケルの上着、そして白いタンクトップににじむ血液が、どれも「赤みを帯びた茶」の色。背景にはそれによく合う「ミントグリーン」や「ブルーグレー」を多用している。ジャケ写からもその色の寒暖差は見てとれる。

正直、真実が明かされても「ほう」という程度だった。後からジワジワ効いてくる類のものな気はするが、ミスリードの引っ張り方も弱い。そして俳優グザヴィエ・ドランは流石の演技だが、ちとクドい。脚本を読み「これは僕だ」と出演を熱望したそうで、Mommyの撮影が終わった3日後から撮影を開始したそうです。

でも、なんでしょうこの感じ。グザヴィエ・ドランが出演しているというだけなのに、紐なしハイカットのコンバースも、ジーンズの裾の折る回数も、ドランさんが発注しているのではないかと勘ぐらせる貴方様。
これまでの監督作では6次産業的な働きで魅せ、全方位オリジナル (“ヴェルタースオリジナル”と同イントネーション) の世界観を突きつけてきた彼だからだろう。
他監督のもとで作品の一部に収まるというのはもはや少し窮屈に感じる。