イチロヲ

肉の標的・奪う!のイチロヲのレビュー・感想・評価

肉の標的・奪う!(1979年製作の映画)
4.0
大手商社に勤務している男性(志賀圭二郎)が、自身の不甲斐なさと上司への憤りを、女性社員に対する性的暴行に転換させていく。「日陰者が成功者に逆恨みする心理」を強姦魔視点から描いている、日活ロマンポルノ。

主人公が口煩い専務を殴りつけてしまい、「おまえには出世がないと思え」と忠告を受けるシーンから物語が始まる。志賀圭二郎演じる主人公の「静かに怒れる男」の芝居が、清々しいほどの気持ち悪さを放っている。

オールスター女優がヤラレ役で総出演しているが、「ロマンポルノだから」では擁護できないほどの予定調和が、キョーレツに感じられる。ルサンチマンの心理を扱ったドラマから、良くも悪くも逸脱してしまう。

とはいえ、体で接待している秘書に売春婦の影を視るという冒頭部が、そのままクライマックスへと繋がるところが面白い。「女の打算的な世渡り」に根負けするという着地は、想定内とはいえ、胸がすく思いでいっぱいになる。
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