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Obvious Child(原題)のchisatoのレビュー・感想・評価

Obvious Child(原題)(2014年製作の映画)
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女性クリエイターによる二十代女子のFloating Generation(浮遊する世代)映画の一つにあたると思われる一作。定番の二十代後半、大卒で頭はいいが職はない。無意識anti-commitment。
30手前でコメディアン。彼氏に浮気され、バイト先の本屋も潰れ、挙句の果てに一夜限り相手との子供を妊娠してしまうという踏んだり蹴ったりな主人公の状態はほかのフランシス・ハやライフパートナーズとはかなり違う。そんな悲惨な始まりのこの映画を支えるのは主人公のユーモアのセンスだ。彼女はどんなにつらい状態に陥っても持ち前のブラックユーモアを忘れず、それが嫌味じゃないバランスが取れていていいなって思った。酷く傷ついた後に彼をもう一度誘うときの文句も可愛い。"next time, I won't be leaving with a stranger, unless the stranger is you."
そのユーモアのおかげで、妊娠中絶という重いテーマを掲げながら、その行為自体を否定することなくあくまでも女性一人の成長に焦点を当てることができて、うまく落とし込んでいるところがこの映画のポイントだと思う。中絶に対する比較的リベラルな意見を取り入れて、最後まで彼女の選択を大事にしてくれたところが好意的。
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