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マイ・ファニー・レディの3104のレビュー・感想・評価

マイ・ファニー・レディ(2014年製作の映画)
4.0
ピーター・ボクダノヴィッチ(声に出して言いたくなる名前)、久々の劇場公開作品。

演出家、その妻、その妻と因縁浅からぬ売れっ子俳優、演出家と“ある出会い”があった若手女優、その女優に惚れる脚本家、その脚本家の恋人のセラピスト、セラピストの顧客の判事・・と、さまざまな人の交わりが織りなすコメディ。
そう、コメディである。
さらには冒頭の「インタビュー」で語られるように、今作はハッピーエンドである。古き良きハリウッドコメディの香りが全編に漂う。かつてのウディ・アレン作品から神経症的な毒気を抜いた感じとも(余談だがウディがモデルか?と思うような人物も出てくる。容姿、言動、作中での扱いがいかにもな描かれ方)。

少し入り組んだ人間相関図が最初は気になるが、話が進むにつれ徐々に、糸を解きほぐすように各人の関係が見えてくる(に反比例して、それぞれの関係は絡まる糸のようにこじれてゆく)ので、そこにストレスを感じることはない。
むしろ“都合のよい鉢合せ”が繰り返され、人間関係ひいては映画全体が小気味よく展開していく様に、楽しく身を委ねることができる。

主演のイモージェン・プーツがとにかくチャーミング。ドレスアップした彼女もいいが、オーバーオール姿が妙に似合っている。

ウェス・アンダーソンとノア・バームバックが制作に関与。両者の作品をやたら崇め奉る(いや確かに面白いけれども)“洒落乙”風の映画好きさん達にとってみると食指が動かないようなテーマかもしれないが、小難しいことは考えず、こういうクラシカルテイストな作品も気軽に観て欲しいと思う次第。
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