踊る猫

ズートピアの踊る猫のレビュー・感想・評価

ズートピア(2016年製作の映画)
4.5
吹替版で鑑賞。観終えたあと唸らされてしまった。ご都合主義的だとか話がサクサク進み過ぎだとか色々文句のつけようもあると思うのだけれど(良質なゲームを解いているような気分になった)、兎も角も「今の」アメリカでディズニーがここまでの多文化共生を目指した映画をリリースしてしまうその豪胆さにひれ伏すしかないと思ってしまったのだ……こう書くと説教臭い映画のように思われるかもしれないし、実際メッセージは極めてシンプルなのだけれど(良く言えば分かりやすく間口が広い、悪く言えば単純な映画)、「女性」の「ウサギ」というマイノリティの典型が(失礼!)知恵を絞ってタフに生き抜く姿は凄まじいと思ってしまったのだ。計算高さが鼻につかないところもないではないが、ここまで無駄を削ぎ落とした完成度の高いストーリーを「アニメーションとして」観させられると唸るしかないではないか。充分元は取れた。日本の「アニメーション」に良くも悪くも望めないものがここにはある。ただ、問題も残る。この映画は「弱者のマジョリティ」という別の形の「強者」の側から作られた映画で誰もがウサギとキツネに(のみ)感情移入するのではないか、と。
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