佐藤でした

さらば、愛の言葉よの佐藤でしたのレビュー・感想・評価

さらば、愛の言葉よ(2014年製作の映画)
4.0
2D鑑賞。3Dで観られなかったのは痛いけど、バキバキしててカッコイイ作品だった。女への花束はやはり、素手で鷲掴みにして渡すのに限る。

尺は69分と短くて見やすかったし、不倫関係にある男女の間にノラ犬が介入し、その犬がキューピットの役割をして子供という贈り物が届いてハッピーエンド!という物語だったと、私は単純に受け取った。

1969年に「たのしい知識」で、映像と音声の解体、そして再構築を試みたゴダールが、その実験結果とでも言うように今作でも、映像を、音を、切って重ねてぶん投げている。

デジカメ、ゴープロ、スマホ、写真機‥色んなカメラで撮った映像(または静止画)をコラージュしている。
状況音というか生活音?もすごくエッヂが効いていた印象。椅子を引く音、床板の軋み、何かを落とした音。誰もがよく知るその音も、ゴダールの手で微塵切りにされると“銃声”のように聞こえてくる。うむ、何やらこの映画は物騒である。

しかしまぁ犬がカワイイ。ロクシー・ミエヴィルという名を持つこの犬は、ゴダールのパートナーであるアンヌ=マリー・ミエヴィルさんとの間の愛犬だそうで。
画を見ているだけでそれは十二分に伝わってきた。犬っておどけて見せるんですね。ゴダール爺さんのこと大大大好きなんだなぁと映るたびにほっこりしてしまった。

「アデュー(さらば)」は、「こんにちは」という意味も持つらしい。偶然にこの映画を観た若者へ、ゴダールの「こんにちは」が顔面パンチでありますように。
佐藤でした

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