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さらば、愛の言葉よの2MOのレビュー・感想・評価

さらば、愛の言葉よ(2014年製作の映画)
3.2
“考えないということが思考に悪影響を及ぼすかどうかは分からない”
そう、本質は直感によって掴み取ることができるのである。

“メタファー”とは一対一に符合する関係を見出すことではなく、その隠喩表現の革新性を凝視することそのものに豊かさは保たれる。

光と音と“言葉”の濁流、分断に導かれる──デジタルカメラのフラットなテクスチャにおいても、他ならぬゴダール作品という記名性の刻まれた──ある種の音楽的な快楽に従順であればよい。難解な引用が知覚を阻害するならば聞き流せばいいし、あるいは睡魔に襲われたならいっそ眠ってしまってもいいのかもしれない。

ストーリーを理解することや意味を解釈することを映画は必ずしも求めてはいない。それは一部であって全てではない。
視ること、そして本作においては体感することこそ映画表現の本質的な喜びであることは、この70分間に収められた実験に明らかであろう。

映画革命児ゴダール、齢83にして。他に類を見ない斬新な3D表現は、『勝手にしやがれ』以来のエポックをまた切り開いたのではないか(と思うのはほとんど希望的観測。なぜならまだ2Dでしか観れていないのであって)。
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