Iri17

ルイの9番目の人生のIri17のレビュー・感想・評価

ルイの9番目の人生(2015年製作の映画)
2.8
試写で『ルイの9番目の人生』を鑑賞しました。

監督はアレクサンドル・アジャというフランスの映画監督で、『ヒルズ・ハブ・アイズ』や『ピラニア3D』を撮った監督です。
ホラーしか撮った事ない監督ですが、その割には頑張っていた印象です。

この映画の優れた点は、カットがどれも絵画のように美しく、トーンが明るく色鮮やか。写真や絵が好きな人は必見かと。
内容はアレクサンドル・アジャのいつもの悪い癖、風呂敷を広げ過ぎて、広げたものを全て回収できないというのをまたしてもやってしまっていますが、全ての登場人物のネガティヴな部分とポジティブな部分を描いたため、誰を信じていいかわからず、すごい上手いなと思いました。その為副作用的にみんなヤバそうで誰にも感情移入できませんがそれは仕方ないかな。主人公ルイまでサイコパスみたいに描く描写が多々あります。全員疑ってかかっていた為、犯人がわかった時も大した驚きはありませんでしたが、ラストに明かされるルイとある人物との関係性に思わず落涙しそうになりました。(してない。)これこそまさに無償の愛じゃないか!というね。だからこそ、いつものホラー要素を無理にブッ込んだのがラストの感動を少し邪魔してますが…
そして途中で出てくる怪物がJ・A・バナヨの『怪物はささやく』をまるパク… 強い影響を受けており、全ての謎が解けた時、怪物のセリフをしっかり聞き返したいと思いました。脚本は問題が多いけど、だいぶ遠回りして帰結した感動のラストと怪物の言っていた事を再確認したいので自腹切ってもう一回行こうかな。

最近『フィフティー・シェイズ・オブ・グレイ』で大人気のジェイミー・ドーナンと『複製された男』で顔面が蜘蛛化奥さんを熱演したサラ・ガドンなど、大スターじゃないが安定した演技力を持つ俳優陣の演技もよかった。むしろ脚本の出来と反比例した演技でした。
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