MasaichiYaguchi

ルイの9番目の人生のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ルイの9番目の人生(2015年製作の映画)
3.6
「猫に九生あり」という諺があるが、本作の主人公の少年ルイは、生後16週間目をはじめとして9歳の誕生日を迎えるまで毎年死に掛けている。
そして遂に9歳の誕生日に崖から転落してしまったルイは、命は取り留めたものの昏睡状態に陥ってしまう。
ルイの担当医パスカルは何度も死に掛けたこの少年を救おうとするのと並行して、何故毎年ルイがこのような目に遭うのか、この事件を担当する警察と共に調べ始める。
そんな矢先、パスカルをはじめとして少年に関わる人々に不思議なことが起こり始める。
果たしてルイは悪魔に魅入られた子供なのか、それとも生まれつきの自傷や自殺願望の持ち主なのか?
本作は、これらの謎に迫るサスペンス・ミステリー映画だが、そこには海洋をモチーフにしたダーク・ファンタジーの要素があったり、最後に大ドンデン返しとも言うべき衝撃的な真実が待ち受けていたりする。
衝撃的な真実や結末から見えてくるのは人の業、それも男女における業、そして、そのことを上回る海よりも深い愛。
その愛は、今まで筆舌に尽くし難い人生を歩んできたルイや我々に光を投げ掛ける。