Samsara(原題)の作品情報・感想・評価

「Samsara(原題)」に投稿された感想・評価

まさ

まさの感想・評価

5.0
近年、私のオールタイムベストに君臨しているロン・フリック監督の大傑作ドキュメンタリー。

5年をかけ世界25カ国の知られざる世界を全編70mmフィルムにて撮影されており、圧巻の映像美を堪能できる芸術映画となっています。

まずはじめに、この映画はセリフ、ナレーション等一切ありません。また、内容を理解するために必要な文字等も出てきません。よって、映し出される映像と音楽のみで構成されています。

この映画で映し出されるもの…それは世界各国の知られざる風景だったり、あらゆる民族、ときにはハッと驚くような光景です。

まず風景ですが、非常に美しい。普通に暮らしてる上では滅多に出会うことのない映像となっていて、世界奥地の大自然が広がります。例えば、ファンタジー映画の超大作にあるようなCGの映像に近いものも出てきますが、こちらはリアルな現実です。この映画の前半は美しいこのような風景が多数出てきます。

次に、ロン・フリック監督の撮影について少し書きたいと思います。この映画に映し出される映像には、至って普通の場面が多数あります。例えば、ある工場の場面で、従業員がアイロンを組み立てるシーン。普通に一からアイロンを組み立てるだけなんですが、撮影の仕方、編集(映像の早送り)等でとても芸術的な映像に見えるようになってます。物凄いカッコイイ映像で、この映画の中盤等は多数このような映像を占めています。

風景が美しい、映像がカッコイイ、芸術的等と書いてきましたが、この映画では人間という生き物の深い根底の部分(負の部分)も描かれる。言ってみれば光も映すけど闇も映すみたいな感じです。例えば、赤ちゃんが映しだされ、「あ〜、かわいいな〜」っと思った次の瞬間、ゾッとするような驚くシーンがあったりします。また、発展してる大都市の場面と、貧しい生活をしている人達がゴミをあさってたりする場面等の対比もあります。さらに、人間の根底にある欲も映す。あるスーパーマーケットで、人々は大量の肉等の食料をまとめ買いするシーン(日本だと考えられない量のまとめ買い)があるんですが、そのシーンの後にその買い物の結果、大食いした人間は”こうなる”みたいなグロいシーンもあります。その他には生きてるニワトリを人間が”食べる”ために食料に加工するシーンもやばい。豚も同様。極めつけに一番考えさせられたのは、拳銃について。工場で拳銃を作るシーンを映していき、その次に工場で大量の銃弾を作っていく。そして完成した拳銃を持って生活する人達を映していき、その次のシーン……戦争の犠牲者を映すのです。

この映画は監督のメッセージが嫌でも伝わってきます。それには、セリフ等はいらない、映像と音だけで十分なんですよ。たしかに美しいシーンが多数あり惚れ惚れしてしまうが、人間の世界はそれだけじゃない、腐った部分が多数ある。非常に考えさせられましたね。

冒頭でも書いたとおり、世界25カ国で撮影されているので、この映画を観ると世界中を旅している感覚になります。観た人は、”この場所に行ってみたい”と思う人も出てくると思います。なのでこの映画を観ると素晴らしい映像体験ができるんです。

今後もこの映画は私のオールタイムベストに君臨し続けることになるかもしれません。それほど、私にとって傑作です。ただ、国内版のBlu-rayがないのが唯一の残念ですね。しかし、セリフ、ナレーション等一切ないので、海外版Blu-rayで問題なく楽しめるのが救いです。Amazonで安くBlu-rayを購入できるので興味ある人は検討してみてもいいかもしれません。また、YouTubeなどで少し映像が観れます。

いろいろ書きましたが、70mmフィルムで撮影された美しい映画です。素晴らしい映像体験ができると思います。興味ある方は是非ご覧になってみてください。
Blu-ray
こういう映像と音楽のみで何かを語るやつってのは直近に観た作品の影響をモロに受けるというか、俺にはピラミッドがタイレルコーポレーションに見えたし、カメラ目線でこちらを見つめるあいつらが全員レプリカントに見えた。
砂に描いた曼荼羅を消すってのは要するにあれだろ。
そんな思い出もやがては消えてしまう...雨の中の涙のように...
WORLD

WORLDの感想・評価

3.9
ナレーションや解説の一切ない、映像と音楽だけのドキュメンタリー映画。

自然、文化遺産の美しい映像に魅せられる一方で、人間社会の混沌さや矛盾を皮肉を込めて映し出す。この地球に生きる人間の光と闇、そしてこの地球の美しさを感じた。ドキュメンタリー好きなら見て損はない作品。

(クレジットカードは必要だが、アメリカのAmazonで割と簡単に購入できました)
TSUBASA

TSUBASAの感想・評価

4.5
【贅沢すぎる100分間】95点
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監督:ロン・フリック
製作国:アメリカ/インドネシアなど
ジャンル:ドキュメンタリー
収録時間:102分
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『バラカ』が20世紀を代表する非言語型ドキュメンタリー映画とするならば、今作は21世紀を代表するそれにあたるでしょう。世界25カ国、100以上のロケ地で撮影された今作はまさに奇跡の作品。宇宙人に向けて送る宇宙船に、一本だけ映画を持ち込めるのならば今作を推奨したいと思います。何故なら、言葉がわからなくてもこれを見れば地球ってどんなところなのかなとわかるからです。(再生できひんから意味ないやんけ。というツッコミはなしでお願いします(笑))『バラカ』同様ナレーションは一切なし。圧倒的な映像と音楽で見る者を異次元の世界に誘ってくれます。

サンサラとはサンスクリット語で「輪廻」を表すようです。輪廻とは人は死んでも何度でも生まれ変わるという思想のことでして、つまり終わりがないということです。それを形にしたものが「円」であり、実際今作ではその「円」がかなり強調されています。パッケージになっている千手観音もそうですし、カアバ神殿のまわりの巡回、マニ車など、本編のいたるところに「円」が強調されています。

今作においては予習は不要。と言いたいところですが、これまで培ってきた様々な知見を照らし合わせるにはうってつけの作品です。例えば先述したマニ車には、回すだけでその回した数だけお経を唱えたという効果がありますし、冒頭に映される世界で一番美しいミイラとされるロザリア・ロンバルドはわずか2歳で肺炎で亡くなってしまいました。また、夜空に照らされる顔だけの巨石はネムルト・ダーというコンマゲネ王国の遺跡ですし、一瞬映される青い建物と兵士は韓国と北朝鮮の国境線にあたる板門店であるなど、知っておいたら得をする映像が多々映されます。説明や字幕も一切ないので、知っているかどうかで見方が変わってくる作品であります。僕もまだまだでありますが、そのあたりは予習なしで理解できたので嬉しかったです。

構成はおおよそ『バラカ』と同じでして、自然と文明、先進国と発展途上国を対比させるような形で映されています。ただし、『バラカ』が撮影された当時では恐らく撮れなかった要素も追加されています。例えばこの十数年で急激的な成長を遂げたドバイの映像がその筆頭でしょう。その中でブルジュアルアラブやパームジュメイラなどはやはり見ていて美しいですが、このドバイという美しい都市も、実は奴隷のような身分の人が日々働いてきたから生み出されたというドロドロとした部分があることを忘れてはなりません。また、現存する世界最大の室内スキー場であるスキー・ドバイを見れたのも貴重でした。このように、21世紀になってから見られる要素も今作には含まれています。

また、『バラカ』より優れているなと思った点は、勿論映像美の進化という点もありますが、何かを皮肉めくという要素が入ったという点であると思います。例えば、消費社会になりすぎた先進国の食に焦点をあてるシークエンスがあります。鶏や豚が見るも無惨に解体され、それらが消費者の元に「食品」として届くのです。このあたりを存分に描いた映画としては『いのちのたべかた』などが挙げられますが、今作はしっかりその鶏や豚の末路までを描いています。そして食べすぎた結果、人間はどういう体型になってしまうのか。。皮肉以外の何者でもないでしょう。また銃社会を批判するようなシークエンスもあります。

このように、地球のあらゆる事象をまるで宇宙人の目線から見れる作品になっています。しかもわずか100分で。恐らくとんでもない制作費がかかっているでしょう。わずか数十秒のその映像を撮るためにそこに赴いたこともあるのでしょう。製作陣の苦労が伝わるまさに至極のドキュメンタリー映画。日本未公開でして、日本版のBlu-rayも今の所ない模様。海外輸入版として鑑賞出来るので興味のある方は是非。今のところ、ドキュメンタリー映画の最高峰としたいです。
utabi

utabiの感想・評価

4.0
Olivier de Sagazanが出てきて雰囲気にあっててよかった。ドローン撮影や、タイムラプスが見事だった。

このレビューはネタバレを含みます

こんなにフラットに世界の一部を観れる作品ないと思う。好きとか好きじゃないとかではない作品。


苦手な牛肉とかのその辺の生々しい映像以外はちゃんと観た。


今この瞬間もモノが作られ、壊され、増えて、減ってる。
人も動物も自然も生きてて、「自然を壊すな」とか「人間は素晴らしい」とかそういうことは一旦脇に置いとく見方。


ぜーんぶ、この世の中を回してる一部なんだな。そしてこの映像はその一部の小さな側面でしかないんだな。と思った。
全部永遠じゃないし、わけわかんない姿に形を変えるかもしれないし、割と長く動き続けるかもしれないし…と問いや答えはないはずなのに頭を勝手にかき混ぜてくれる映画(笑)

やっぱり私は自然を大切にしたいな。
そしてたまに、会ったこともないけど同じ時間を生きてるどこかの国の誰かを想像してみる時間もつくりたいなと思わせてくれる。



BGMにノルウェー語の歌があったみたい…!

あとこれにインスパイアされて友達が映像をつくってたのを思い出す。
映像が綺麗だった
InSitu

InSituの感想・評価

1.6
嫌いな映画。バラカの悪い部分をとことん熟成させた感じ。生命の素晴らしさを感じ取るよりも先に、"押しつけがましい"という気分を抱いてしまう。テレンス・マリックのツリー・オブ・ライフが嫌いな人の気持ちが良く分かった。
Midori

Midoriの感想・評価

4.0
なにを語るでもないし気の利いた感想を用意しようとすることが自分の無力さを思い知ることになるような壮大で圧倒的な地球に広がる世界を凝縮したかのような映像の切り取り。

自分の悩みの小ささを想った。明日から仕事がんばれるかもしれないなーと想う映画。