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慶州(キョンジュ) ヒョンとユニのんぎのレビュー・感想・評価

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死者に導かれるように辿り着いた土地で失われたものへの視線を共有すること、そうした偶然の交錯によって、本来ならば立ち現れることのなかった関係が紡がれてゆく。神秘的な古墳と街のあかりがフレームのなかで同居する、慶州というロケーションの異形さはもちろん素晴らしいのだが、その折々の情景、なんといっても中盤のカラオケボックスから夜の公園までのシークエンスにおける、信じられないくらい美しい撮影、言ってしまえばどこにでもある、なんてことはない普通の夜を、ここまで甘美に仕立て上げてしまうその演出力に震える。静謐さのなかにたしかなエモーションが宿っている、豊田徹也の漫画をふと思い出した。
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