SatoshiFujiwara

女獄門帖 引き裂かれた尼僧のSatoshiFujiwaraのレビュー・感想・評価

4.1
牧口雄二の俗悪エログロ節が炸裂している傑作でござんした。牧口作品は『毒婦お伝と首斬り浅』や『らしゃめん』など数本観たけれどみんな素晴らしい。牧口の凄さは、俗悪描写と言いつつもそれが単に下世話なものにはならずにあくまでストーリー展開に必要欠くべからざる要素として組み込まれている点ではないか。また俗悪描写に妙な遠慮や配慮がまるでない(こんなの今撮ったら女性蔑視だなんだと批判の嵐だろうね)。映画として実によく出来ていて感心する。

とは言いながら、本作の正しい鑑賞法は口を半開きにして呆けた笑みをたたえながら食い入るように画面に見入ることだろう。タイトル提示から意味の分からん大爆発でまず笑えるが、二階堂ふみみたいな田島はるか渾身のキレ芝居(特に終盤が凄い。声が裏返ってんのがツボだわ)、お約束の汐路章のやり過ぎ演技、尼寺にいるキチガイ志賀勝のいっちゃってる凄演、同じく尼寺にいる熟年おばはんの母乳毒殺攻撃など見どころ多数。仏壇から飛び出すミイラは即身仏だろうが(ミイラと即身仏は厳密には違うけど)、だったらウジは湧いてるわけねえよなどとどーでもよい細部が気になったがまあそれこそどーでもよい。障子開けたら背景が真っ赤になるとこは清順的でもある。とにもかくにも娯楽映画かくあるべし!
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