めっちゃブザーなるインターホン

ガガーリン 世界を変えた108分のめっちゃブザーなるインターホンのレビュー・感想・評価

4.3
宇宙を夢見る気持ちは世界情勢や時代、国などに関係ない人類共通のものなんやと感じた。
その夢を見る者たちの中でも知力体力共にトップクラスの選ばれし20人からガガーリンが選ばれて人類初の有人宇宙飛行に成功し帰還するまでの話。

どうしても政治的な話と切り離すことのできないプロジェクトであり、そのプレッシャーからきたミスもたくさんあったと思う。1つのミスでクビが飛ぶような状況下(自分のソ連に対するイメージなので本当のところは違うかも)でなおかつ自分たちより財力のあるアメリカ(これも自分の勝手なイメージ)より先に成功させなければならないというのは計り知れないほどのプレッシャーだったに違いない。
その中でも技師長は技術屋として、1人の夢見る者としてこのプロジェクトに臨んでいたように見えて魅力的だった。

そして何度も出てくる、1番最初だけが歴史に名を残すのだという話。20人の中から1名が人類初の有人宇宙飛行に挑戦する権利を得られるということは、仲間、同志であるはずの彼らの関係にどのような影響を及ぼすかは容易に想像できる。それでも彼らは馬鹿な真似はせず正攻法で競っていたところに熱くなった。

それ以外にもガガーリンの父の人生観や送り出す側の家族の葛藤など色々なシーンがあったが1番ぐっときたのは最後の字幕でガガーリンの帰還後について述べていたところだ。人一人の身には余りにも大きすぎる重圧に晒され続けた人間がどうなってしまうのか、想像に難くないものだが悲しい結末であった。