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龍三と七人の子分たちのmasayaanのレビュー・感想・評価

龍三と七人の子分たち(2015年製作の映画)
3.5
オフィス北野はおそらく、アジア圏からジャ・ジャンクーを輩出することで、映画という文化に対する一定の役割を終えたのだろう。園監督の『地獄でなぜ悪い』同様、ネタ化した「ヤクザ」というコンテンツで悪ふざけする様子は面白いが、決してそれ以上のものではない。もちろん、映画は面白いにこしたことはないので、これはこれで完成だろうと思いつつ、誰しもが「よーし、やれ、やってまえ!」と応援し、タランティーノ的な「明るい殺戮」を期待するであろう殴り込み以降のクライマックスは、しかし、脱力的なボケによって周到にカタルシスを回避し、じじいたちの「中折れ」を巧みに演出する。と、思いきや、北野武演ずるバッド・ルーテナントが例のごとく「バカヤロー」と言って若造をぶん殴るとき、なんて安易なんだと思いつつ、北野映画を観たぞという満足感に思わずホッとしてしまう。
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