KotaSaito

トイ・ストーリー4のKotaSaitoのレビュー・感想・評価

トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)
4.8
アラジンに続いて、というかアラジン以上にディズニーの挑戦を感じられる映画。

賛否わかれているとおり、3までの展開からは外れている。自分は良い意味で外れたと思う。

ウォルトディズニーは生前「3匹の子ぶた」の続編を同じようにつくって失敗し、「ブタでブタは超えられない」という言葉を残しているのだけれど、
トイストーリー4は明らかにトイストーリーでトイストーリーを越えようとしている。

それはある意味で、ウォルトディズニーという会社がウォルトディズニーという個を超えた瞬間でもあるのではないかと思う。


変化に対応してすっかり自立した女の子ボー、
過去の栄光にすがり事態を悪化させる男の子ウッディー
という構図は
①男女の観点で見ると、
強い女の子をえがくという最近のアメリカ映画の流行りであるし
②もっと言うと、組織に従属せず、自立していけば道は開けるという
キャリアの観点にもなる。
②の問題提起が新しすぎて、多くの人が受け入れられないのだろう。
しかも今までのトイストーリーは特定の子どもに遊ばれる=おもちゃの幸せ
だったわけだから、14世紀にローマ法皇自らが「実は地球がまわってました」っていうくらいのパラダイムシフトである。
でも、
新卒で良い企業に入れれば安泰です=社会人の幸せ
だったところに、「いや、終身雇用も年金も無理です」と言われる現実の社会となんら変わらない。
なにが幸せかも自分で考えないといけない時代に来ているというメッセージなのではないだろうか?
今作は明確な敵がいないのも、もう善悪の単純な世界ではないですよってことだと思う。

ただ、この部分に関して受け入れがたい風潮が強いのサラリーマンがまだまだ主流の日本だけなのだろうか? ギグエコノミーがとっくに発達しつつあるアメリカではこんなことは当たり前なのか気になった。

アメリカといえば、友情などの抽象的で誰でも受け入れられるテーマにせず、あえて賛否を呼ぶ明確な主義をを打ち出して議論を呼びおこすのも、とてもトランプ時代のアメリカ的だと納得。
そう考えると、イエスウィーカナダと連呼しながら大して力を発揮しないキャラクターはもはやオバマへの批判?とさえ思えてくる。(アメリカの政治詳しくないから多分ちがう)

ということで、内容がどうこうという前にウォルトディズニーという大企業が現状に甘んじずこれだけ最先端をいこうとするんだから、自分ももっと頑張らなければと勇気をくれる映画。

まぁでも、まとめると
女は上書き保存
男は名前をつけて保存
という感じの映画かね。笑
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