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トイ・ストーリー4のくるぶしのレビュー・感想・評価

トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)
3.9
相変わらず素晴らしい脚本に自然かつ現代的なキャラクターの再構築。ピクサー恐るべし。

映像技術の進歩によりおもちゃの質感、汚れ具合と凄まじいほど細かに作られている。特に照明演出が今回は光っていた。すんばらしいーー

トイストーリー3は映画史に残る完璧過ぎる幕引きでありこれを超える続編は要らないと思っていた。
実際おまけで作られた短い作品がたしか2つあったが観ていない。

1-3をウッディとアンディの2人の話なら4はウッディという1つの意思を持った生命体(?)のアイデンティティに迫る作品である。
当然「おもちゃ」のアイデンティティを語ることは過去作の否定にも繋がるところはあるが、ある種この現代性含め良い試みだし本当の意味でトイストーリーが完結したなとは思う。

シリーズにおいておもちゃと人(アンディ)は親と子の関係にあり、親の子離れ、子の親離れのメタファーであるとどこかの評論で読んだ。
実際アンディは母子家庭だと思われ、シリーズに父が登場する場面は一切ない。
父の理想像をウッディやバズに重ね合わせていたからこそ理想的な「おもちゃと持ち主」という関係性が守られていたように思える。

そのウッディ自体典型的な白人の象徴である「カウボーイ」のおもちゃであり、アメリカ人男性の理想的姿として描かれていたと思う。
ウッディ自身もおもちゃにとって理想のリーダーを、
アンディにとっての理想の男性像を演じることが1〜3まででは当たり前のようにされ当然のように観客も受け入れていた。
話が脱線するけどバズも宇宙飛行士っぽいデザインでアメリカを象徴するものだしアンディが一時期傾倒したのもわかる気がする。
ウッディが最後にとる選択はこれまでの自分との決別=ザアメリカ的な男らしさからの解放とも取れる。

昨今のディズニー(ピクサー)はこうゆうとこが多々あり、例えばアナ雪でいうと真実の愛は男女だけで成立するものでないと提示してみたり、ズートピアでは多様性賛歌とも言えるようなメッセージだったり、、、

じゃあ前はどうだったの??というと、、
実はトイストーリー2では4で伝えたメッセージと逆のことをやってたり、、、

博物館にいきたいという思いを持ったおもちゃを「おもちゃの幸せは子どもに遊んでもらうこと」という理由でやっつける。
一方的に価値観を押し付けられた印象を受け、2は好きじゃなかった。面白いけど。
(2は元々劇場公開されるはずじゃなかったから劇場用に超急ピッチで作ったらしい。脚本の粗はそのせいなのかな?)

今まで語られてこなかった「おもちゃの自由意志」
奴隷制にも通づる面があると思う。大4の僕には「企業と労働者」という風に見えてしまった。たぶん「コミュニティとそれに縛られる個人」というメタファーなんだろう。多様性を強く押し出すディズニーが歴史があり且つ保守的ファンも多いであろうトイストーリーにやらせるあたり流石だしかっこいいね。

少しダークで大人な雰囲気を残しながらの幕引き。1は「青空に雲」から始まり3では「青空に雲」で終わる。そして4の終わりは星空に月。まじやっべピクサー。くそいかちー

結局トイストーリー4みての一番思ったのはピクサーぱねーってことです。要チェック!
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