愛鳥家ハチ

二重生活の愛鳥家ハチのレビュー・感想・評価

二重生活(2012年製作の映画)
3.5
ロウ・イエ監督作品。2つの家庭が1人の男を軸に交錯するドラマ映画。邦題は『二重生活』ながら、英題は"Mystery(ミステリー)"とある通り、謎が謎を呼ぶスリリングな展開が特徴的でした。また、他の作品と同様に、イエ監督は恋人同士のふとした瞬間のやりとりやじゃれあいを切り取るのが上手いなぁとあらためて感じた次第です。

ーー多面的
 ストーリーの外面のみをなぞれば、一夫一妻制になじまない男のおかげで周りが大迷惑を被るというメロドラマ的な側面が前面に出てきます。ただ、イエ監督のインタビュー記事を読むと、現地社会に特有の(and/orどの社会にも存在しうる)思考様式がストーリー内部に横たわっていたことに気付かされます。別媒体ながら監督のメッセージに触れることで、現地社会の制度や現地の人の考え方の一端を理解できるという意味では、本作は大変勉強になる作品でした。しかし、そうした作品の背景情報を抜きにしても、作り込まれたミステリー、メロドラマとして純粋に楽しめると思います。
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