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シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイアのymdのレビュー・感想・評価

2.9
『マイティソー バトルロイヤル』や『ジョジョラビット』などで本来シリアスな作品にコメディの風を吹き込んだタイカ・ワイティティ監督によるホラー風モニュメンタリー。
あくまでホラー風であり、実態は彼の得意とするオフビートコメディである。

ヴァンパイアという怪物は人間社会と共存しながら生きながらえる存在である、という定説をブレイクダウンさせて、彼らの日常ってこんなもんじゃない?っていう妄想をダラダラと繰り広げる。

さながら日常系コメディ by ヴァンパイアとも言えるような緩い内容。日本の漫画でもこんな感じの作品ってありそう。

あくまで日常系なので特別エポックな出来事が起こるわけではないけれど、人間社会の中での苦悩とかヴァンパイアあるあるネタ(意味不明)とかを当たり前のように描写していてけっこう笑える。

男性ヴァンパイアだけのシェアハウスなのでそこはかとなく漂うブロマンス風味も(ヴァンパイアという背景があってこそだが)新鮮で面白いし、あえて純粋な人間とか、新生ヴァンパイアとか“異物”を介することによる不協和音もダラダラとした物語に良いアクセントを生んでいる。

紛れもないB級映画なんだけども迸るセンスの良さで最後までそこそこ楽しめるし、このカルト臭の強い映画の3年後にバトルロイヤルの監督に抜擢されて見事に成功しちゃうわけだから、MCUの制作陣の慧眼には驚かされる。

褒めておいてなんだけど、個人的にはこのオフビート過ぎる作りはあんまハマれなくて観賞直後からすでに忘却が始まっているのだけど、たまにはこういう毒にも薬にもならないルーズな映画を観るのも悪くない。
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