タケオ

シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイアのタケオのレビュー・感想・評価

3.7
現代社会で共同生活を送るヴァンパイアたちの姿を描いた、ニュージーランド発の傑作モキュメンタリー。『吸血鬼ノスフェラトゥ』(22年)から『トワイライト』シリーズ(08〜12年)まで古今東西あらゆる'ヴァンパイア映画'の小ネタを散りばめつつも、全編に俳優陣の即興演技を持ち込むことで唯一無二の世界観を築き上げたのは、『メン•イン•ブラック3』(13年)の極悪エイリアンボリス役で知られるジェマイン・クレメントと後に『マイティ・ソー バトルロイヤル』(17年)や『ジョジョ•ラビット』で世界的な評価を得ることとなるタイカ•ワイティティ。肉片と化したはずの仲間がニコニコと狼男になって帰ってきたり「間違えて動脈を噛んじゃった!」みたいなノリで血塗れになったりと、笑っていいのかどうか分からない不謹慎なギャグ描写も実に冴え渡っている。和気藹々と撮影を続けた結果、87分の上映時間に対して収録時間が125時間を超えてしまったというアホさ加減には呆れさせられるが、それ故に本作には時代や人種を超えた'男の友情'が自然な形で滲み出ている。ケンカや悲劇も絶えないけれど、一緒にツルむのはやっぱり最高だ!彼らのそんなゆる〜い生き様に、思わずホッコリさせられる心地よい作品である。
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