CHEBUNBUN

PKのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

PK(2014年製作の映画)
3.5
【宗教をインフィニティ・ストーンのごとく】
我々日本人はよく無宗教だと言われるが、そんなことはない。天皇誕生日は休むし、クリスマスは祝う、お正月は初詣に行き、人によってはイースターやハロウィンを本場以上に楽しむ。様々な宗教のいいとこ取りをする多宗教な民族なのだ。

もう、多宗教に慣れてしまっている日本人にとって本作は『ライフ・オブ・パイ』さながらの親近感と驚きを与えるだろう。

酔っ払い=PKと名付けられた宇宙人が、故郷に帰るリモコンを探しにインドを東奔西走するという内容。Mr.ビーンさながらの目力と挙動不審さで非常識を振りまく滑稽さは爆笑ものだ。

しかし、コメディの仮面の裏には、宗教についての深い洞察がある。PKは、神に会えばリモコンをゲットできると思い、片っ端から宗教を試しては捨てを繰り返すのだ。

インドには、ヒンドゥー教、ジャイナ教、仏教、イスラム教、キリスト教など様々な宗教があり、民族も多様だ。

PKは、宗教を学ぶ度に常識と徳を積んでいく。そして、無意識のうちに神のように志の高い存在になっていく。

まるで、インフィニティ・ストーンを集めるサノスのように。

宗教は、人々に倫理観を与える。調和をもたらす。しかし、一つの宗教に固執すると、それは鋭利な武器になる。だからこそ、様々な宗教を学び受け入れるべきだと本作はメッセージとしてうちだしている。本作は、宗教の坩堝であるインドで、大作として作られ、インドだけではなく全世界の歴代興行収入1位に輝いた。

本作は、映画でもって世界を平和にしようとした徳の高い作品と言えよう。
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