むぅ

ナイトクローラーのむぅのレビュー・感想・評価

ナイトクローラー(2014年製作の映画)
4.1
「"勧善懲悪"ですよね」

職場でドラマの話をしていた。
『MIU404』が面白いという流れから今作の話になった。特派員RECという『ナイトクローラー』を意識しているであろうキャラクターが出てくるからだ。

観た事があったのが2人。
何となく内容を知っていた私。
その3人が
「....ん?」
となった。勧善懲悪か...?
そう言えばしっかり意味を調べた事がない。こっそり調べようとスマホを出していたところで、その発言の主が"完全超悪"の意味で使っていた事が判明した。

観て思った。
"完全超悪"なら合っている。

事故現場に遭遇し、テレビ局に映像を売る"ナイトクローラー"という報道スクープ専門の映像パパラッチの存在を知る主人公。
"ナイトクローラー"として活動を始めたが、過激な映像を撮り報酬を得たことで、彼はどんどんエスカレートしていく....。

スクープを撮ることに執着し堕ちていく主人公を観て、指先が冷たくなった。怖かった。
でも、その"怖い"という感情は正体不明のものに感じる恐怖ではない。報酬のため、承認欲求がゆえ。彼の行動に全く共感はしないけれど、理解は出来てしまう恐怖なのだと思う。そして彼の投げたものの最終着地点に自分がいる事も怖かった。
その人の"生死"に関わる事を面白がったことはない。
けれども、そうではない"不幸"の記事を興味本位で読んだ事はある。結局、彼が堕ちていくのに加担しているのだと思った。

彼の"報道"がどんどん自身の"作品"へと変化していくのが怖かった。
そして報道されたことを消化するのではなく、"作品"になったものが"消費"されていく様は珍しくないと思ってしまう。

鑑賞後の底冷えする感じが
『トゥルーマン・ショー』の時と似ていた。

"完全超悪"は物語の中だけにしたい。

ちなみに"完全超悪"くんが、待ち焦がれていた連休の前日の
「なんで町メインなんですかね」
「....ん?」
「運動会とかならまだわかるんですけど」
「!!"待ちに待った"のこと?"町に待った"じゃないよ?!」
という変換ミスが一同大好きなのだが、今回もなかなか良い線いってると盛り上がってしまった。
むぅ

むぅ