えむえすぷらす

ナイトクローラーのえむえすぷらすのレビュー・感想・評価

ナイトクローラー(2014年製作の映画)
5.0
救急車を追いかける弁護士という言い方がアメリカにあったと思いますが、事故・事件報道で1本いくらで売るストリンガー(フリージャーナリスト。ここではビデオカメラマン)の物語。

主人公は最初から最後まで首尾一貫していた。但しその男は独自の哲学、道徳観を育てていた。それは悪としかいいようがない。でも本作はあくまで客観的な視点で捉えていく。

「スタンダッパー」なる単語が連呼されていた。NBC報道カメラマンを長年勤められた方の本でもこの言葉はよく出てきた。事件現場の前でレポーターが一人カメラの前に立って撮る事を言う訳ですが、最初はそんな事も知らずにふと見た事故取材で興味を持ち、のめり込んでいく。

こんなひどい奴を描いた映画はそうそうありません。
あまりにひどいので一度は席立とうかと思いましたが、最後まで見て席を立たなくてよかったとは思った。

現実歪曲フィールドをこれほど的確に映像化した作品もめずらしい。実に胸の悪くなる作品でこの映画の作り手たちの意図はきちんと伝わりました。最悪な傑作の一つだと思います。