やし

ナイトクローラーのやしのレビュー・感想・評価

ナイトクローラー(2014年製作の映画)
3.5
これは狂気。
気付きにくいが、現代社会に身近に存在する狂気。

主人公は職にあぶれ、就職面接では必死に自分の実直さを売り込むが不採用続き。
強盗などの犯罪行為でその日暮らしをしている。
そんな彼の目の前で、ある日交通事故が起き、その凄惨な現場を撮る報道カメラマン(ナイトクローラー)を目撃したのをキッカケに自らの道を見出す。

主演の男を演じるはジェイク•ギレンホール。巧い。
もともと目力のある俳優だが、この作品の彼は減量して痩せた顔に爬虫類を思わせるほどのギョロ目で相当インパクトがある。

主人公は初めて飛び込む全く知らない世界に臆することなく、独学で知識を得、独力で資材を調達、そしてその業界に必要なものを鋭敏に察知し、真っ直ぐ成功への道を目指していく。

だが、モラルは欠如している。観ていると、この業界にそんなものいるか?と言われているよう。

モラルは社会人として当然必要なもの(のはず)だが、社会にはモラルから逸脱して地位と財産を築いた人はいくらでもいる。

お客様の笑顔があればいい?
本当に??

お客様の求めることを提供するのが仕事?
ならばナイトクローラーは立派な仕事だ。彼は提供している。これからも提供し続けるだろう。

初めて知った新しい業界にツテもなく飛び込んで、
「おれならやれる!」
「やってやる!」
「どうしたらやれる?」

その勢いで、主人公が強盗直後の現場に遭遇し、恐怖や動揺、道徳心よりも先行するナマの現場を撮り続けるシーンはゾクゾクした。

テレビの画面を通すことで罪の意識は感じないが、事件が起きた生の現場映像を観てみたいと思う自分がいるわけだし、狂気は自分のなかにもある。