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ナイトクローラーのおーたむのレビュー・感想・評価

ナイトクローラー(2014年製作の映画)
4.4
評判の良さは聞いてて、いつか見たいなと思っていた作品。
面白いけど、ちょっと怖い作品でした。

主人公であるルーは、元は単なるコソ泥で、彼がパパラッチとして頭角を現していく様子が、作品のほぼ全てです。
そして本作の魅力は、この主人公が、倫理観の欠如したサイコパスであるという点と、それが非常にリアリティをもって描かれているという点だと思います。

個人的になるほどと思ったのは、彼が勤勉な努力家として描かれているところ。
ルーは、市場のニーズを熱心に研究し、周到に準備を行い、必要な投資も怠らず、人脈作りにも積極的です。
ここまでやれば当然成功するだろうと思わせるだけのことをやり、実際に成功を勝ち取っていくルーの姿には、サクセスストーリー的な面も見てとれます。
が、本作が描き出すのは、そうした努力に倫理観が欠けていた場合の恐ろしさ。
これがサクセスストーリーだとすれば、その物語はあまりにブラック、かつ、徹底的に病んでいます。
本作は、こういう身近な害悪を生み出す社会に対し、皮肉たっぷりに警鐘を鳴らす、秀作のスリラーだったと思います。
とにかく、こんな奴そばにいたら嫌だ。

しかし本作は、今の時代だからこそ生まれた作品のような気もしますね。
夜を這う者、ナイトクローラー。
このような異常者を、異常だとカテゴライズできなくなる時代は、もうすでにやってきているのかもしれません。
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