ゼロ

ナイトクローラーのゼロのレビュー・感想・評価

ナイトクローラー(2014年製作の映画)
4.5
パパラッチで成功した人間の光と影を描いた作品です。

ルイスを演じるジェイク・ジレンホールさんの演技が凄いです。全編を通じて狂気さを感じる不気味さを演じ切っています。成功していく人間は、合理的で、非人道的で、承認欲求が強く、手段を選ばない人間である。その説得力を、演技を通じて、私たちに教えてくれました。

物語としては、ルイス・ブルーム(主人公)は、フェンスや時計などコソ泥をして生計を立てていた。たまたま自動車事故の現場を目撃し、パパラッチの仕事があることを知った。興味を持ったルイスは、ニュース番組の監督であるニーナと出会い、過激な事件の撮影をするようになった。

サクセスストーリーなわけですが、成り上がってやるぞという気持ちよりも、誰からも認められたいという気持ちと自信が強かった。ルイスは、相棒を加えてパパラッチの仕事をするが、最終的には情に流される人間は不要と事故に見せかけて殺します。ルイスは、ニーナに相手の状況をリサーチした上で、性的関係を強要してきます。ルイスは、殺人事件が起きたら、ニュース映えするために、勝手に被害者を移動させたり、不法侵入することに躊躇いはありません。

結果的に富と名声を手に入れて幕を閉じましたが、この成功を羨ましいと思う人はどれくらいいるのでしょうか。道徳や倫理を無視して、仕事で結果を残しています。優秀なビジネスマンだと思いますが、気持ち悪いと感じてしまった。しかし、これくらいのことをしないと成り上がっていくことはできないという脚本には感心してしまいます。

演出面でも暴走と呼べる車の移動シーンや鏡に狂ったように叫ぶシーンなどあり、お見事でした。演技力、脚本、演出が高い水準であったため、引き込まれる作品となっていました。
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