服部だった何か

ボーダレス ぼくの船の国境線/ゼロ地帯の子どもたちの服部だった何かのレビュー・感想・評価

3.8
SW連投終了につきボーダレスならぬジャンルレスなレビュー投下、俗に言う平常運転に戻ろうやないか。
というわけであまりにメジャーなシリーズを続けてた反動でザ・単館系のこれに先陣切ってもらうことにする。

イランとイラクの国境線に浮かぶ廃船。
そこで魚を捕ったり装飾品を作ったりと日銭を稼ぐ生活を送るイランの少年が主人公。
作品全体を通してもそうなんやけど、冒頭からどのくらいやろうか、30分くらいは無かったやろうか。台詞。
足音、息遣い、船の軋む音、魚を捕る為の仕掛けにつけた鈴の音、装飾品を作る為貝殻に穴を空ける音、イラク側に居る米兵の談笑する声、遠くに聞こえる銃声や爆撃音。
BGMも非常に少なく、独り言なんて言う筈もなく、少年の淡々とした表情と動作が作品への没入度を高める。

そんな日常に紛れ込むイラク側の「少年」、そして米兵。静かに、確かに、日常が崩れていく。互いに言葉も全く通じず、一触即発の様相を呈する。次第に言葉が通じずとも彼らは互いの状況を察し、ゆっくりと互いを理解し始める。
いっそのこと字幕無しでもええんちゃうかと思うレベルの表現力に圧倒された。まぁ字幕無くても米兵の台詞は理解出来てしまいそうやから微妙かもしらんけど。

言葉の壁を乗り越えた彼らの結末はあまりに虚しいのがまた良かった。言葉なんてわからなくても意思が疎通するのは周知の事実。それやのに戦争や紛争は今も昔もずっと続いてる、それもまた事実やと思わされる。

イラン映画と言われてもピンとこんかもしらんけど、所謂戦争を描かずして見事に戦争を描いた秀作とちゃうやろか工藤。