Angeprunelle

ボーダレス ぼくの船の国境線/ゼロ地帯の子どもたちのAngeprunelleのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

錆びた鉄の音が淋しさと孤独を助長する
ひんやりとした廃船の中で育まれたのは
静かで優しいボーダレスな愛の奇跡♡

紛争の時代を生きるパーソナルに焦点をあてて
登場人物の行動のみで魅せる作品✧

無駄に色付けしない小手先で誤魔化さない
画は極ナチュラルでストーリーは極シンプルなのに
抽象化されたメタファーな表現で想像力を刺激し
観る者の心の中で無限の色彩に染まる
表情豊かで命の鼓動を感じられるイラン特有の映画に
私はいつも心を掴まれます♡
そして心の中が充実感で満たされます✧

自分の置かれた状況に小言一つ言わず
小さな身一つで日々を戦うたくましさ。
たくましさを弱きを守る為に使える美しさ。
恐れながらも歩み寄ろうとする勇気と優しさ。

その行動力はもはや少年ではなく
一家の優しい大黒柱のようにも見え
あまりの男らしさに感服しました。

けれどそれでもまだまだ幼い少年。
あらゆる感情を映し出すその瞳は
年相応のか弱く怯えた瞳で
それを見るたび胸が苦しくなります。

彼らがそうしていたように私も
察すること 寄り添うこと
しつこくない思いやり
そういう心を育みたい。

眠っている赤ちゃんをそっと撫でるように
気付かれないけど相手になんだか心地良いと
感じてもらえるような柔らかな心を育みたい。

多くを語らず省略の多い作品ですが
少年の一つ一つの行動が雄弁に語ってきます。

なんなら消音でも鑑賞可能な作品なので
彼らをただただ見つめて
映画に寄り添ってみてください♬

イランでは厳しい検閲があるが故に
世に出ることなく握り潰された
素晴らしい作品が数多くあるだろうけれど
検閲があるが故に表現方法など磨かれていった部分もあると思うし
少なくとも検閲が厳しい中で
なんとか切り抜けようと闘うその姿勢は
本作の主人公や他のイラン映画の登場人物と
どこかリンクするものがあって感慨深い✧

これまで観てきたイラン映画も大好きですが
もっと多様な物語や自由な表現が許されるように
少しづつイラン映画界が発展していくと良いなと思います♬
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