鹿江光

Dearダニー 君へのうたの鹿江光のレビュー・感想・評価

Dearダニー 君へのうた(2015年製作の映画)
3.5
≪70点≫:人生が始まるラストカット。
破天荒な老年ロックスターが、過去に届くはずだったジョン・レノンの手紙に後押しされ、もう一度人生を歩もうと決意するお話。でもその道のりは、「老いぼれボクサーがリングに再び」みたいなドラマチックなものではない。それはゆっくりと力強い足取りで、苦しみながらも勇気に溢れている。
ダニーとその家族の間に徐々に繋がりが生まれていく過程も、とっても優しく描かれている。ただ語られる要素をピックアップすると、道のりは過酷で険しい。それでも穏やかに観ていられるのは、バックでうるさくない程度にジョン・レノンの名曲が流れているからだろう。
そしてなんといっても、ラストカットが素晴らしい。これ以上無いくらい完璧な切り方。今後続いていく未来の光源を見つけた瞬間に終わる。だからこそ観客の心にはその光が残り、果てしない希望が生まれる。
アル・パチーノ、やっぱすげぇなぁ。年代は違えど、その演技は心に強く響く。共鳴する。
派手じゃなくても良い作品はまだまだあるのだなぁ。
鹿江光

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