gyaro311

スノーデンのgyaro311のレビュー・感想・評価

スノーデン(2016年製作の映画)
4.4
きょうは、予約しないと、
どこの映画館も入れないほどの人気ぶり。
普段は絶対に選ばない1列目とか、
2列目しか空席がありませんでした…
予約せずに映画館に来て、
打ちひしがれている人も
多く見受けられました。

で、映画の内容についてですが・・・
こういう人物のことを、
真に、英雄と言うのだろうと、
思いました。

歴史に残るものは、基本的には
勝者から見た歴史であり、
勝者に都合の良い歴史です。
その意味からすると、
スノーデンが未来において
歴史上の英雄として語られることは、
おそらく無いかと思います。

私自身もこの話を
ニュースでぼんやり見ていましたが、
国家機密を持ち出し、
全体主義のロシアに逃亡、、となると
何となく悪いイメージが湧きます。
(無知ゆえなのですが)

そして、スノーデン自身も、
暴露により、勝者として
歴史に名を残せるとは
思っていなかったと思います。

でも、告発せざるを得なかった。
安全保障のためなら、
個人のプライバシーを侵害してよい、
という感覚に、彼は全体主義の影を
見たのではないでしょうか。

そして、それを告発することが、
より良い社会への一歩として
必要だと思ったから、
犯罪者になり、敗北することを想定し
最悪は殺されることを想定し、
それでも告発したのだろうと思えました。
その無私の行動は、
真の英雄的行動だと素直に思えました。

セキュリティー、安全保障の名の元に
どこまで、個人の自由を制約することが
許されるのか。
全体主義との境界線はどこにあるのか。
トランプ大統領の登場で、
世界情勢が激変する中で、
今、まさに問われている問題です。

さらに、映画の中では、
彼のつくったモノが、
標的とする人物の暗殺に使われ、
そこに、何の関係もない市民まで
巻き込まれてしまう様子が
映し出されています。
まるでゲームのように人が死にます。

「安全保障」を語るときに
なぜか、個人の命の重さが
相対的に軽くなることを
オリバー・ストーン監督は
明確に認識していると思います。

ぜひ、いつか原爆投下の映画を
つくってほしいものです。
gyaro311

gyaro311