バートン作品は昔ハマっていましたが、唯一観ないまま残っていた長編監督作品がこれ。
というのも、『ビッグ・アイズ』以降、今年の9月に再点火するまでかなり長い間離れていたから観る機会がなかった。
『実写版ダンボ』を観たのもつい最近だし。
本作の原作は、アメリカで140万部を突破したというベストセラー小説『ハヤブサが守る家』。
出だしは「お、ダークファンタジー版『ビッグ・フィッシュ』かな?」
話が進むにつれて「思いっきり『シザーハンズ』のオマージュやん」「あ~、黒幕もうこんな段階から出てたのか~!」という具合に、読んでて楽しい小説でした。
この作品の鍵となるのはアンティーク写真で、装丁と合わせて、ヴンダーカンマー(驚異の部屋)にいるような気分になれます。
そしてテーマ的にも、「生まれ育った環境に適応できない主人公」「異形の子供たち」と、いかにもバートンに監督させてくださいと言わんばかりのテーマです。
(作中に出てきた表現は「デイヴィッド・リンチの悪夢」でしたが……)
実際に観てみると、全体的に低調な2010年代のバートン作品の中では比較的評価が高かった理由がよくわかりました。
原作はそこそこスローテンポで、館にたどり着くまでに全体の3分の1以上かかっていたのですが、それに比べると映画の展開は早め(開始30分、つまり3分の1以下で着いてる)。
父親とのぎくしゃくした関係も、昔だったらガッツリ描いてたと思うのですが、そこはさらっと流される。
こうした問題はバートン自身、長年の紆余曲折を経て一区切りついたんだろうなと考えると、感慨深いものがあります。
それに今回、かなり自由に作品を作ってるんだなぁと分かるシーンがいくつもある。
ワイトの「瞳孔がない目」はイラストなどでよく見かける「バートン目」だしw
さらに心臓を埋め込んで人形や死体を動かす演出は、特撮の神様・レイ・ハリーハウゼン作品のオマージュバリバリ!
人形同士の決闘なんて動きがまんまストップモーションアニメだし、クライマックスの遊園地で大量の骸骨を動かすのは『アルゴ探検隊の大冒険』のスパルトイのオマージュ。
ここの戦闘の描き方が妙にユーモラスだったのは『マーズ・アタック!』を思い出しました。
とりあえずバートン、人形遣いのイーノック関連はかなりノリノリで作ったんだろうなというのがうかがえる。
そして一瞬大写しになるバートンご本人……wもうキタ―――(゚∀゚)―――― !!って感じでした。
(大変特徴的な風貌の方なので、気づく人はすぐ気づくし、絶対吹き出したはず)
終わり方も原作と違ってかなりすっきりしていたし。
原作の方は「俺たちの戦いはこれからだ!」エンドなんですよね。ミス・アヴォセットは生存してる可能性があるけど、ペレグリンは元に戻れないままだし……
続編が二つ出ているみたいですが、映画の終わり方の方がありがたい。
しかし主人公の能力は「怪物ホローガストが見える」というものなのですが、ペイントしてやれば普通に肉眼視できるようになってる描写があって、「あれ、主人公の能力ショボい方じゃね……?」ってなってしまいました。
原作読んでる間は気づかなかったけど、「あ……言われてみりゃそうだ……」ってなってしまいました。
お気に入りの能力持ちは吹っ切れたように描くけど、そうでない奴に対してはちょっとぞんざいな扱い……w
(一応真っ先に気づけるというメリットはありますが)
あと、タイムループが設定の根幹にあるのですが、元居たループが無くなった後の設定や2016年1月11日のループの件、初見で全部理解できた人いるんでしょうか。原作読破済みでもこの辺は訳わからなくて、何度も観直しました。
ですがこれで、「バートンの長編監督作品全部視聴済み」になりました!
あとはレビューを埋めていくのみですが、いかんせん観たのがだいぶ昔の作品が多いので、気長にやっていこうかと思います。
アニヲタwikiにまとめた記事
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/52588.html