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ジャスティス・リーグのTEPPEIのレビュー・感想・評価

ジャスティス・リーグ(2017年製作の映画)
2.3
いま全米で賑わっているのは本作「ジャステイス・リーグ」のディレクターズカット版の公開を希望するという署名運動である。ご存知の方も多いが今年ザック・スナイダー監督は娘の死が原因で途中降板して後任には「アベンジャーズ」でアンサンブル映画を見事成功させたジョス・ウェドンが就任して、さらに大幅な追加撮影を行った。僕がこの作品を観てまず思ったのは圧倒的な違和感であり、非常にアンバランスな印象を受けた。何かと比較されるマーベル映画とDC映画。この2つはポップさとシリアスさ、どちらも売りがある。しかしながらこれが圧迫というものか、今回のヒーロー集結映画はあまりにもあっさりとワーナーとジョス・ウェドン監督がザック・スナイダー版を壊してしまった感じは否めない。大きな部分で前作「バットマンVSスーパーマン」より優れている作品ではあるが、「ワンダーウーマン」も公開された今この映画はキャラクターによって救われている部分が大きい。普通に見てみればストーリーは面白くないし、やけに短い上映時間と会話のテンポアップ、ユーモアさが後付けどころかまんま「アベンジャーズ」である。頭柔らかくして見ればヒーロー集結を楽しむお祭り映画なのだけど、前半から後半にかけての唐突なストーリー変更とキャラクターの成長の無さである。まず、大きく分けて3つ言えることがある。
1つ目はスケールの小ささ。よく分かんないけど世界を闇に陥れる力をもつマザーボックスを何かアマゾネス数人に手こずるレベルのステッペンウルフというビジュアルもCGも、狙いもよく分からない敵が回収して世界を滅ぼそうとする。その侵略計画もどの具合かというと空が染まる、いっぱい虫みたいな悪魔みたいな奴らが襲う……凄い過疎ってる場所を拠点として。なので正直ジャスティス・リーグ結成ほどの敵ではなく、とりあえずヴィランのショボさがストーリーに影響大なので面白くはない。
2つ目は戦闘シーン。各キャラクターを特性を活かし、チームプレイをするのが集結映画の醍醐味。わりとワンマンプレイが多い事、アクアマンなんて水なし戦闘でほとんど影である。フラッシュはやはりクイックシルバーとの差別化に苦労するし、サイボーグも何かビーム撃ちまくる。これじゃただ敵が倒されまくる描写しかなく、もうダントツで1番使えないバットマンとか見てられない。そんなわけで予告編の段階ではダークなビジュアルだった戦闘も赤い空の下テンポよく暴れるだけで特にヒーローの特性がなく、面白みがない。極め付けはCGの粗ばかりが気になって、これなら上映時間をもう15か20分追加しても良かった。実際サイボーグやフラッシュの戦闘シーンが大幅カットされている。DC映画の中で1番皆んなが単なるコスプレに見えてしまう。端的に言えば戦闘シーンに工夫がない。
3つ目は脚本。非常に悪い印象を受けた。違和感バリバリの改変、テンポ良くしたいのか知らないがこのハラハラ感のないストーリーが余計映画を悪くしている。壮大なプロジェクトに対して壮大な脚本がまとまっていない。クリス・テリオの脚本は前作に続いてとにかく敵やキャラ心情が取っ散らかる。
キャスト陣営は良かった…ので勿体ない。ベン・アフレックはまんまゲーム版に出てきそうなアゴ割れバットマン、ガル・ガドットのワンダーウーマンとフラッシュのエズラ・ミラー、どう見てもレスラーのジェイソン・モモアなどなど。しかしどうもキャラ達が安っぽくなってしまった。
総評として「ジャスティス・リーグ」は完璧ではないが形としてのヒーロー集結映画になっており、大胆さが過ぎてしまって面白みが欠けていた。ザック・スナイダー監督が持つダークな一面が反映されているとすれば、ポップさが混ざってもそれの相性が良くなかった。早過ぎたヒーロー集結、この言葉がDC映画を表しているかもしれない。何となく伸び悩んでいる理由が画面から伝わってしまう。
「呆気ない」まさに「ジャスティス・リーグ」において僕の意見はこうである。
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