キャッチ30

エクス・マキナのキャッチ30のレビュー・感想・評価

エクス・マキナ(2015年製作の映画)
4.3
この映画を鑑賞する前に松田卓也氏の「2045年問題」を読んだ。それによると、人工知能には強い人工知能と弱い人工知能の2種類が存在する。強い人工知能は意識を持った人工知能だが、反対に弱い人工知能はチェスに勝つなど何かの目的だけに特化した人工知能のことを指す。今作のエヴァは強い人工知能に当たる。

エヴァを演じるアリシア・ヴィキャンデルの可愛さにはうっとりさせられる。バレエで培った柔らかな動きだけでなく、正負の感情を示す彼女の表情も素晴らしい。

松田氏は人工知能に感情を与えることは反対であると表明している。それは、感情をもつことは愛や思いやりだけでなく、怒りや憎しみといった負の感情も備わるからだ。
また、コンピュータが意識を持った時に神か悪魔ができるかは不明とある。題名の「エクス・マキナ」とはラテン語で「機械仕掛けの神」という意味だが本来ならば、それは「デウス・エクス・マキナ」になる。デウスとは神という意味。つまり、今作のエヴァははっきり神だとは示されていない。だからこそあのラストが考えられる。

最後に、何故松田氏の「2045年問題」を絡めたかというと2045年に人工知能が人類を上回ると予想されているからだ。この人工知能というツールはもはや何百年先ではなく、何十年先の未来或いは今要注目されている問題なのだ。『エクス・マキナ』が小規模ながら注目されているのはこの人工知能というテーマを取り扱っているからである。難しく聞こえるかもしれないが本作はSFというより、サスペンス要素が強いのでSF映画が苦手な人でも楽しめるはずなので是非、一度見て頂きたい。